元スポーツ担当バイヤーがコッソリ教える、ランニングシューズのお買い得時期とその理由

長年スポーツ商品バイヤーをしてきた中で培った知識からできる範囲で書いてみようかと考えてみました。内容の保証はできませんが。。。

スポーツ用品の買い時

皆さんはランニングシューズを買うときに「いつ買えばお買い得なのか」と迷ったことはありませんか?購入のタイミングで「価格」は気になるところ。
もちろん言い切れる法則的なものはありませんが、市場の動向から一定の流れはあります。私が買うとしたら、と考えてみました。


(参考)【シューズは語る】ソールの摩耗からクセを診断してもらい、フォームの改善方法を聞いてきた! | いま走りたくなるメディア - スポリート


拡販シーズンを狙う

多くのランニングシューズ商品は、春先と秋口に新製品を投入していきますが、用途やモデルによって発売月が分散されてます。
10月などマラソン大会のメインシーズンに入るとレーシングモデル初めメイン商品の拡販が一斉に始まります。そして12月などセールシーズンをピークに、販売店は一気に在庫を売り切ろうと急ぎます。
一般的にはだいたい発売月から3ヶ月くらいすると弾力的に価格が変動する場合が多いです。(最近はEC販売のせいか価格変動のスピードがどんどん早まってますけど。)


この点は補足がありまして、商品やブランド自体の価値に重きを置いている場合は価格が下がりにくい傾向があります。要は安売りイメージを付けたくない商品ですね。
商品力があるブランドは、価格を下げて売り急ぐ必要がないから価格が下がりにくいというパターンが多いです。


市場流通というのは自由競争ではあるのですが、ブランドを作るのはメーカーです。色々な施策が入って宣伝やら販促をするため、価格以外での訴求で勝負している商品もあるということです。この場合ファンになったら買いたくなった時に買うしかないですね。

販売店独自施策が狙い目

各販売店はいかにお客様を捕まえるか、アレコレ考えながら売ろうとしてますので、もしネットで購入を考えているなら、とりあえず「メルマガ登録」するなど最新情報を拾えるようにしておきましょう。特に週末などは要チェックです。また最近のネットショップは「売価+ポイント」など付帯サービスで競争が激化中。特にショッピングモールを利用するなどの場合はクーポンの有無や、ポイントの変倍率などを意識するとよいと思います。


また侮れないのはその「販売店の独自ドメイン」でショッピンサイトがあった場合。
これは店頭と同じ理屈でして、自社に来てくれたお客様は大事にしたいですよね。よく購入してくれる優良顧客を特別に優待することは自然な流れだと思います。
販売店によりクローズドな限定セールなど様々なサービスを打ち出していることもありますので、よく買い物をするお店などは逃さず情報を拾って確認しましょう。

前モデルを狙う

今のような秋シーズンであればメジャーブランドは新製品が発売しているころです。
よって、シリーズものであれば前モデルなどが処分価格になっている可能性が大。
(例:ミズノ「ウェーブライダー21」2017年9月に発売→「ウェーブライダー20」が値下げ)
自分で欲しかったシリーズは見張っておいて逃さず買いましょう。


どのレベルのランナー向け商品かによって「シリーズ名」を変更して新発売するタイプもあります。
消費者側は以前のカタログをわざわざ見比べる事自体あまりしないので気づきにくい所かもしれません。「◯◯の後継モデル」と言ってもらえればわかりやすいのですが、意外とそういう所が微妙に変えているだとか、厳密にいうと機能があれこれ違うとか、消費者目線でいうとよく分からないこだわりのためにスルーしている場合あるんですよね。。。


そもそもは消費者が自分の用途で選べればよいのですが、商品が多すぎて分かりにくい。
目安が欲しいと思う方は多いはずなので、この辺りは親切に教えてくれる信頼できるお店で買ったほうが個人的にはよい気がします。


自分の普段使っているシリーズが新モデルで発売されない。無くなってしまった場合は、だいたい後継品があると思います。シリーズ名は変えても商品展開を止めるメーカーはあまりいません。そのセグメントでせっかく掴んだお客様を他メーカーへ逃がすことになるからですね。よって、狙い目のモデルはメーカーWEBなどで機能やスペックを確認しておくとよいですね。

在庫切れに注意

前モデルを狙うといっても、クリアランスセール時期に入ると市場の在庫が一気に無くなる可能性もあります。
サイズにもよりますが、レディースでは23.0~24.0cm、メンズでは26.0~27.0cmくらい。ウィズサイズだと2Eあたりをだいたいメインサイズとして在庫を多く持ちつつ、それ以外のサイズは(在庫スペースは限りがあるので)在庫を少なく持つのは販売店の定石です。
ちなみに私はシューズサイズ約28.0cmなので処分品をのんびり購入しようとすると結構売り切れになったりします。入手しにくいサイズほど専門店が在庫を持っていることが多いなど、在庫の持ち方というのは店舗によりクセがあったりしますね。

市場の動向を読む

メーカーが「売りたい!」と考えて開発した商品であっても、販売店も「売りたい!」と乗ってこないと結局売れないのです。


よってメーカーがいかに力を入れている商品か。
この点は結構ポイントだったります。一般消費者が判断するのにはよく宣伝されているもの、といったアバウトな感じになるのですが、メーカー直営ネットショップなど見ると高確率で目立つ位置にあったりしますので参考にすると良いと思います。


そのような商品は「主力商品」といったりしますが、在庫が市場に多く出回りつつも、処分時にしっかり価格下がる傾向があります。この辺の仕組みはシークレットな部分が多いので割愛。

カラーについて

定番カラーといえる「ブラック系」「ネイビー系」や、シーズン毎の「トレンドカラー」などは在庫多めの傾向があります。差し色的なカラーは棚のバランスをみて在庫をしている事が多いですが、量が少ない場合も多いです。


極端にはカタログ上発売はされているけれど、未展開カラーがある販売店も存在します。



トレンドカラーは毎シーズンブランドごとにも違うのですが、メーカーが違っても似たカラーになる場合があります。そういう時は「あぁ、このカラーが今期の押しなのか~」と思って、メーカーの思惑に乗る場合と、乗らない場合とがあります。販売店の考え方によるところですね。

ポイントは「在庫」

在庫状況が多いものは少なくしようと価格が下がる傾向にあります。
逆に在庫が少ないものは価格が下がりきらない場合もあります。


在庫が少ないというのは=市場の見込需要が少ないと見られているので、一定の需要をさらうと完売するというパターンです。
在庫状況とその販促背景がわかっていると結構な精度で市場の動きが予測できます。
まぁその在庫状況を一般に知るのが難しい訳ではありますが。。。こればっかりは関係者でないとわからない部分だったりもします。


長々と書きましたが、とにかく処分やセール時期に欲しいものを探すというのは一般論として正しいです。あとは売り切れる前にゲットするかです。ココが情報戦になるところ。

補足:新製品について

発売のシーズンに入って、新製品は店頭に並びます。
しかし一般のイメージと違って?メーカー自体は発売の時には在庫を持ってないケースが多いです。
特に外資ブランドは在庫を潤沢に持つことはしないことが多い。発売されると販売店や代理店に在庫が移動するのでメーカーは(直営店舗以外の)在庫を基本持たないのです。


よって市場では、販売店&代理店が売ろうと一生懸命頑張って、メーカーは販促や宣伝で商品周知やPRを頑張っているというイメージです。(例外ももちろんあります。)


商品の発売は当然前もってスケジュールされているので「*月に**シューズ発売」と事前に決まってます。おおよそ年2〜4回開催される展示会(商談会)で前もって商品が展示され、販売店はそこで販売予定の在庫発注などをしています。だいたい春夏と秋冬に分かれているのですが、夏に秋冬の商品を見たりと先のシーズンを見ますので、気候や市場の動向など様々なアンテナをはって、仕入れの精度を上げたりしています。


こうしてスケジュールされた新商品をシーズンに入って如何に早く売るか。また在庫が残ってしまった場合は如何に早く処分するか。メーカー・代理店・販売店によるシーズンレースを通して消費者に商品が届いているのですね。


以上、すべてのメーカー商品に適応できる話でもありませんし例外も沢山ありますが一般論として参考にしてみてください。